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2017.02.13
中国がネット規制すり抜ける無許可VPNを禁止。

中国政府が、当局の許可なくインターネットでVPNの使用を含む、許可されていないインターネット接続を禁じるとする期限付きの通達を発行しました。VPN(Virtual Private Network)とは仮想プライベートネットワークの略で、ネット規制の厳しい中国から自由にインターネットにアクセスするための手段として使われています。

VPNは本来、たとえば企業などが複数拠点に点在するLANを相互接続してひとつのネットワークとして扱いたいといったニーズを解決するため、インターネット上に外部からアクセスできない仮想のLANケーブルを通すために用いられる技術です。

一方、中国国内ではFacebookやTwitter、YouTubeといったメジャーなサービスをはじめ、さまざまなインターネット資源へのアクセスが規制されています。このため、VPNは中国国内から「自由なインターネット」へのどこでもドアとして、また中国へ赴任する諸外国の人々にとっては各種SNSを通じた家族・知人との通信手段としても機能してきました。

ところがSouth China Morning Postが報じたところによると、中国政府が1月22日に出した即日発効の通達により許可なく中国国内でVPNを利用した場合、それは違法として扱われることになりました。中国政府は通達をインターネットの「クリーンアップキャンペーン」と称し、いちおうは2018年3月31日までの期限付きだとしています。中国では2016年3月の全国人民代表大会(全人代)の際にも大規模なVPN規制を実施したことがあります。

The Washington Postなどは、中国の新しいVPN規制はあえて言葉をあやふやにしており、政府が取り締まりを自由にできるよう工夫されていると指摘します。ただ、文面からは個人よりもVPNサービスを提供する無許可企業の一掃を目的としているのがうかがえるとのこと。

ちなみに、1月17日から20日までスイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)において、初参加した習近平中国国家主席は「われわれはすべての国が相互接続した成長を成し遂げ、繁栄の共有を実現する努力をさらに押し進めなければならない」「保護主義の追求は地下室に自分を閉じ込めるのと同じだ」とグローバリゼーションの信条に同意する発言をしていました。

もちろんそれはインターネットだけを指した発言ではないものの、その直後のVPN規制キャンペーン開始にはどこからともなく「なんだかなぁ」との声が漏れ聞こえてきそうです。

ちなみに、インターネットに規制の網をかぶせている国は中国だけというわけではありません。ロシアやキューバ、さらにエジブト、バーレーンといったアラブ勢、また日本との関わりも深いトルコ、ベトナムといった国もまた、定常的もしくは一時的(政争が激しくなる時期など)に規制をかける措置を実施しています。